ビットコインの価格は日々大きく変動し、これに振り回される投資家も多いですよね。
そんな中、ビットコインを大量に保有するメタプラネット社は、独自の戦略としてプットオプション取引に踏み切りました。
こちらは、ビットコインをただ「保有するだけ」で終わらせない、少しユニークなアプローチとなっています。
これは「BTC保有だけでどうやって定期的な収入を得るのか?」という疑問に対する、メタプラネットが示した一つの解答案です。
こちらについて詳しく解説します。
今回のIR(インベスターリレーションズ)情報は、メタプラネットのビットコイン戦略の新たなステップを明らかにしています。
果たして、この手法はリスクを伴いながらも、長期的に利益を生むのか?それとも別の結果を迎えるのでしょうか?
ビットコイン投資に興味がある方や、企業の資産運用に興味を持っている方にとって、参考になる情報でしょう。
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メタプラネットに関する過去の紹介記事はこちらです。
メタプラネットのプットオプション取引
メタプラネットは、ビットコインのプットオプション取引を行い、約24BTCのプレミアム(報酬)を獲得しました。
ビットコインのプットオプション売取引と保有残高の増加について
簡単に言えば、メタプラネットは223BTCを1BTC=62,000ドルで売る権利を提供し、その対価として24BTCを得たのです。
この取引に関して解説していきます。
今回のメタプラネットが活用したのはプットオプションです。
このオプション、ちょっと難しく感じるかもしれませんが、要するに「将来、特定の価格で資産を売る権利」です。
具体的には、特定の原資産(この場合はビットコイン)を、将来の特定の日までに、その時の市場価格に関係なく、あらかじめ決められた価格と数量で「売る権利」なんです。
この権利を行使するかどうかは、売る側の判断に委ねられます。
プットオプションの狙い
この取引は、ビットコイン価格が一定の価格以下に下落しないと予測する際に使われることが多いです。
もし価格が予想通りに下落しない場合、オプションの売り手はプレミアム(報酬)を得ることができ、実際に売る必要はありません。
一方で、価格が大幅に下落した場合は、市場価格より高い価格でビットコインを購入するリスクもあります。
ここまで紹介したように、プットオプションとは、指定された価格で資産を売る権利のことです。
今回、メタプラネットはビットコインを1BTC=62,000ドルで売る権利を買い手に提供し、その見返りにプレミアム収入を得ています。
このプレミアムはオプション取引で得られる報酬で、メタプラネットは約24BTCを手にしました。
プットオプションの詳細
メタプラネットが行ったビットコインのプットオプション取引、その内容を少し詳しく見ていきましょう。
まず契約内容ですが、メタプラネットはビットコイン223枚分のプットオプションを販売しました。
この契約の満期日は2024年12月27日、そして権利行使価格は1BTCあたり62,000ドルです。
ここで注目なのは、メタプラネットが受け取るプレミアム。
プレミアムは1枚あたり0.1075BTCで、合計23.972BTC。
要するに、メタプラネットはこのオプション取引を行うことで、約24BTCのプレミアム収入を得たのです。
さらに、証拠金として13,826,000ドルを差し入れています。
この元手は第11回新株予約権の行使代金から捻出されています。
株主の資金を迅速に活用したこの動き、どのように評価されるべきでしょうか?
「証拠金はビットコインの購入に充てる予定です」とIRが語るように、メタプラネットはビットコインにフルコミットしている様子です。
証拠金とは?
証拠金は、取引を行う際に担保として提供されるものであり、取引が終了すれば通常は返却されます。価格や取引結果に影響されることなく、取引のリスクをカバーするために設定されています。
このような取引を読むと、ビットコインに対するメタプラネットの強気な姿勢が見えてきますね。
彼らのフルゴリラビットコインな投資姿勢、皆さんはどう思いますか?
表面利回りを解説
メタプラネットが得た表面利回りは10.75%です。
この表面利回りは、62,000ドルという権利行使価格に対して計算されており、損益分岐点は、62,000ドルの権利行使価格から10.75%下がった55,335ドルです。
表面利回りとは、収益(この場合はプレミアム)を元本や投資額に対して割合で示したものです。
単純に得られた収益を元本で割ることで計算されます。
メタプラネットがこの取引で得た約24BTCのプレミアムを、オプション契約に基づくビットコインの総価値と比べると、この24BTCは契約全体の価値(約13,826,000ドル、すなわち223BTC × 62,000ドル)の10.75%に相当します。
つまり、 この24BTCのプレミアムは契約全体の価値の10.75%に相当します。
表面利回りが10.75%というのは、投資家にとっては悪くない数字に見えます。
しかし、この利回りだけを見て「お得」と判断するのは少々危険です。市場の動向やリスクを考慮することが重要です。
オプション取引による利益と損失パターンプレミアムと表面利回りの関係
この取引は、2024年12月27日時点のビットコイン価格によっては、メタプラネットにとって利益にも損失にもなり得ます。
パターン1:ビットコイン価格が62,001ドル以上の場合
この場合、メタプラネットはビットコインを購入する必要はありません。
メタプラネットは24BTCのプレミアムをそのまま利益として得ます。
つまり、コストや追加の負担なしで24BTCを増やすことができたというわけです。
これはかなり美味しい取引でしょう。
パターン2:62,000ドル~55,335ドルの間
この価格帯だとどうなるでしょうか?
メタプラネットは62,000ドルで223BTCを購入する義務を負いますが、約24BTCのプレミアムがあるので、この範囲内ではまだ利益が出ます。
ただ、価格が低くなるほどその利益は減少してしまいます。
パターン3:ビットコイン価格が55,334ドル以下の場合
この場合は最もリスクが高いシナリオです。
この場合、メタプラネットは62,000ドルで223BTCを購入しなければならないため、プレミアム分を考慮しても損失が発生します。
たとえば、ビットコインの市場価格が50,000ドルだったとすると、実際には12,000ドルも割高な価格でビットコインを購入してしまうのです。
これは大きな損失でしょう。
ここではメタプラネットは確かに損失を被ります。
しかしそれでも、24BTC分のプレミアムの報酬は損失を部分的にカバーしてくれます。
とはいえ、損益分岐点である55,335ドルを大幅に下回ると、プレミアム分では補いきれない損失が出る計算です。
この取引は確かに利益を得るチャンスがありますが、リスクも忘れてはいけません。
なお、IR資料には、次のように記載されています。
当社はビットコインの価格変動性を認識していますが、この戦略はビットコイン保有残高を増やすという当社の目的に沿ったものです。」
要するに、ビットコインを62000$で購入するための現金は既に資金を確保しているため、ビットコインの価格が12月27日にどうなろうが、追加の財務リスクはないということです。
割高で購入するというリスクを承知の上で取引を進めているのは、メタプラネットがビットコインの保有量を増やすことに重点を置いているからです。
たとえ損失が発生しても、会社の戦略は「ビットコインを増やす」という明確な目的に基づいています。
ここまでの内容を要約します。
この戦略は、メタプラネットにとっては、BTC価格の変動に対して柔軟な対応ができる方法です。
たとえ市場が予測通りに動かなくても、プレミアム収益によって損失を最小限に抑えることもできます。
損益分岐点は55,335ドル。
この価格を下回ると、損失が発生しますが、プレミアム分がクッションとなるので、損失は軽減されます。
これがプットオプションの基本的な仕組みです。
一見複雑に見えるかもしれませんが、この仕組みを理解することで、ビットコイン取引の奥深さが見えてきますよ。
この場合、損失は避けられませんが、24BTC分のプレミアムが損失の一部をカバーします。
メタプラネットの取引目的とは?
メタプラネットが行った今回のプットオプション取引、その目的は一体何だったのでしょうか?サイモンCEOとIRが語るその狙いを見ていきましょう。
また、オプション戦略を通じて、保有量を増やしながら追加の収入を得る狙いもあります。
ここでは、メタプラネットのビットコイン保有残高がさらに増加することがポイントです。
プレミアム分でビットコイン保有が増加
今回のオプション取引でメタプラネットは23.972ビットコインを追加で受け取ることに成功しました。
ビットコイン保有残高は現在530.717ビットコイン。
取得価格は約8,950,000円/1ビットコインで、累計で約49億6千5百万円のビットコインを保有しています。プレミアム収入を活用しつつ、保有ビットコインの枚数を着実に増やしていることが分かります。
今後の業績に与える影響
今回のプットオプション取引がメタプラネットの業績にどのような影響を与えるのでしょうか。
受け取ったプレミアムの総額である23.972ビットコインは、メタプラネットの2024年12月期中の収入、つまり売上として計上されます。
このビットコインの時価相当額を日本円に換算すると、なんと214,549,400円(約2億1500万円)に達します。
このような大きな収益が計上されることで、メタプラネットの2024年の業績に追い風となるでしょう。
メタプラネットがこの取引を選んだ理由
メタプラネットがこの取引を選んだ理由は何でしょうか。
将来的なビットコインの価格上昇を期待しており、ビットコイン保有量を増やす戦略を一貫して続けているからでしょう。
損失を許容しつつ、長期的なビットコイン保有を見据えた行動は、投資家としての大胆な決断とも言えます。
メタプラネットのプットオプション取引の一つの強みは、ビットコインを直接購入せずにリスクを最小限に抑えながら、収益を得ることができる点です。
ビットコイン価格が権利行使価格の62,000ドルを超えた場合、24BTCのプレミアムはそのまま収益となり、さらに市場でのビットコイン価格上昇に乗じて利益が拡大します。
例えば、2024年12月27日までにビットコインの価格が62,000ドル以上で推移した場合、メタプラネットは223枚のビットコインを売る義務を負うことはありません。
その結果、約24BTCものプレミアムがまるごと利益として確保されます。
批判的視点:割高で購入するリスク
もちろん、リスクも見逃せません。
もしビットコインの価格が62,000ドルを下回った場合、メタプラネットは割高な価格でビットコインを買い増しすることになります。
プレミアムで得た利益が一気に吹き飛び、場合によっては損失を抱えるリスクがあります。
この取引が成功するかどうかは、ビットコイン価格の今後の推移にかかっているわけです。
2024年12月27日に、ビットコイン価格が62,000ドルを超えるでしょうか。
カバードコールではない、その推測
今回のメタプラネットの取引について、こう思う方もいらっしゃるかもしれません。
「カバードコールを使う手もあったのでは?」と。
カバードコール戦略とは、ビットコインを保有しながら、そのビットコインを特定の価格で売る権利を相手に売る手法です。
これにより、ビットコインの保有を続けながら、プレミアム収入を得ることが可能です。
しかし、メタプラネットはあえてカバードコールを避けました。
なぜなら、彼らはビットコインを売るつもりがないからです。
この取引は、ビットコインを減らさずに保有量を増やすことに注力していることが明白です。
メタプラネットは、ビットコインの価値に対する確信を持っているようです。
問いかけ:この戦略、どう見ますか?
ビットコイン保有量を増やすために、メタプラネットはあらゆる手段を取っています。
リスクを抑えつつプレミアム収入を得るという考え方は、一見合理的です。 ですが、価格が下落した場合、損失も考えられます。
みなさんがもしメタプラネット株を持っていたとしたら、この取引をどう評価しますか?
BTCを増やす戦略を評価しますか?
それともリスクを避けるべきだと思いますか?
私の感想:狂気の沙汰か、正気の戦略か
メタプラネットの取引は、ビットコインの長期保有に対する強い信念を感じさせます。
正直に言って、この賭けには少し震えさえします。
もしビットコインが長期的に下落した場合、リスクが大きすぎるからです。
ビットコインの価値が上昇するかどうか、それがこの取引の成否を分けるポイントです。
なお、私は2024年10月4日時点で、メタプラネット株は132株保有しています。
しかし本命はマイクロストラテジー株です。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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