前回の記事では、ビットコイン関連株について紹介しました。
ビットコイン関連株は大きく3種類に分けられます。
①暗号資産取引所関連株ではコインベース、
②マイニング株ではライオットプラットフォームやクリーンスパーク、
③企業でのBTC保有では、マイクロストラテジー、セムラーサイエンティフィック、メタプラネット、ネクソンなどがあります。
今回は、その中でも特に企業でBTCを保有しているケースについて、詳細に掘り下げていきます。
これらの企業への投資は、ビットコインの直接保有を避けたい投資家にとって、間接的な投資手段となっています。
各社の特徴し、ビットコインを保有することがどのように企業の財務戦略に影響を与えるのか、そしてどんなリスクとリターンが待ち受けているのかを探ります!
また暗号資産市場の特性とリスクについても触れていきます。
最後まで読んでいただくことで、ビットコインを含む暗号資産や暗号資産関連株の持つ可能性とリスクを理解し、より賢明な投資判断ができるようになれば幸いです!
興味を持っている方は、ぜひ最後までお付き合いください。
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ビットコインを財務戦略とする理由
ビットコインがなぜ企業の財務戦略として注目されているかご存知ですか?
その理由は、法定通貨であるドルや円の価値が下がっているからです。
リーマンショックやコロナショックを経て、法定通貨の増発が加速する中、世界的にインフレが進行しています。
その中で、金地金やビットコインといった発行数量に制限がある世界的なグローバル資産に注目が集まっています。
ビットコインと金地金を比較した記事はこちらです。
例えば、米国企業のマイクロストラテジー、日本企業のメタプラネットがビットコインを保有しています。
これらの企業は、インフレヘッジとしてビットコインを購入し、財務戦略に組み込んでいます。
特に、マイクロストラテジーは、ビットコインを財務戦略の一環として初めて組み入れた企業です。
会長兼共同設立者のマイケル・セイラー氏は、インフレから企業の資産を守るためにビットコインを購入することを決断しました。
結果として、同社は252,220枚(2024年9月22日更新)ものビットコインを保有し、ビットコインの価格上昇に直接利益を得ることができています。
※ビットコインの総発行枚数は21,000,000枚です。
ビットコインのしくみはこちらの記事で紹介しています。
ビットコインの財務戦略を取り始めてからマイクロストラテジーの株価はおよそ10倍前後も上昇しています。
ビットコインの財務戦略としての有用性を後押しするもう一つの要因として、政治的な発言もあります。
例えば、2024年7月には米国のトランプ大統領候補がビットコインの戦略的備蓄について言及しました。
このような発言は市場に大きな影響を与え、ビットコインの注目度を押し上げています。
BTC保有の企業株式を購入時に知っておくべきこと
ビットコインを保有する企業の株式を購入する際、通常の企業の決算や売上、利益だけで株価の動きを予想することはできません。
ビットコイン価格の影響も受けるため、非常に複雑で難易度が高いのです。
また、ビットコインよりも価格の変動が大きいため、あっというまに半値どころか、80%以下の価格に下落するという可能性もあります。
なんとなく買ってはいけません!
©スラムダンク / 井上雄彦 / 集英社
それくらいリスクがあるということを把握していただければと思います。
まずは抑えておいてほしい知識を紹介します。
暗号資産市場の特性:24時間取引のメリットとデメリット
暗号資産市場の最大の特徴の一つは、24時間365日取引が可能であることです。
これにより、いつでも市場にアクセスできるというメリットがあります。
また、世界中の投資家が参加するため、市場の流動性が高まり、取引が活発になります。
しかし、この24時間取引にはデメリットも存在します。
市場は常に動いているため、休暇中や寝ている間にも大きな価格変動が起こることもあります。
これにより、リスク管理が難しくなることがあります。
相場が気になって仕方がなくなりそうな方は、要注意です…
ビットコイン価格と関連企業の株価連動性
ビットコインの価格は、保有企業の株価にも大きな影響を与えます。
マイクロストラテジーやセムラーサイエンティフィックなどのBTC保有企業は、ビットコインの価格上昇に伴って株価も上昇する傾向があります。
しかし、ビットコインの価格が下落すると、これらの企業の株価も同様に下落するリスクがあります。
ビットコインのボラティリティは高く、市場の状況によっては大きな損失を被る可能性もあります。
また、マイクロストラテジーなどの傾向として、ビットコインの価格変動よりも値動きが大きくなることが多いです。
関連株はNISA口座で購入することで税金がかからない恩恵
仮想通貨で利益を得た場合、その利益は所得税法上、雑所得に区分されます。
そのためビットコインなどの暗号資産の取引で、20万円を超える利益が出た場合は確定申告が必要です。
また、利益が20万円以下の場合でも、給与所得や退職所得以外の所得金額との合計が年間20万円を超える場合は確定申告が必要になります。
詳細は暗号資産と税金計算に関するGtaxの記事で記載しました。
一方、株式や投資信託の所得は、譲渡所得や配当所得に該当し、申告分離課税で一律20.315%(所得税15.315%+住民税5% ※所得税に復興特別税を含む)の税負担となります。
またNISA口座での売買では税金が変わりません。
ビットコインを間接的に保有し、節税効果も受けたい方は、ビットコイン保有企業の株式の購入も視野に入るかもしれません。
主要3企業の基本情報と戦略
ここからはビットコインを企業として保有している中で、注目度の高い3つの企業について紹介していきます。
2024年11月19日時点の簡単な比較表は以下です。
企業名 | 上場先 | 本業 | ビットコイン購入開始時期 | 保有する ビットコイン |
平均取得価格 (1ビットコインあたり) |
マイクロストラテジー (MicroStrategy) | 米国 | ソフトウェア開発・販売 | 2020年8月 | 331,220枚 | 約5万ドル |
セムラーサイエンティフィック (Semler Scientific Inc.) | 米国 | ヘルスケア | 2024年5月 | 1,273枚 | 約68,000ドル |
メタプラネット 3350 (Meta Planet) | 日本 | 投資業・不動産業・BTCコンサルティング | 2024年4月 | 1,142枚 | 約995万円) |
マイクロストラテジー:ソフトウェア開発企業でBTC保有の先駆者
マイクロストラテジー(MicroStrategy)は、ビジネスインテリジェンスソフトウェアの開発企業として知られています。
2020年8月からはビットコインを企業として保有する戦略で注目を集めています。
会長兼共同設立者のマイケル・セイラー氏は、インフレから資産を守るために、ビットコインを企業の資産として大量に購入する戦略を採用しました。
©マイケルセイラー氏
この決断により、マイクロストラテジーの株価は上昇するとともに、暗号資産市場でも存在感を強めています。
なお、マイケル・セイラー氏は、個人でも17,732BTCを平均取得価格9,882ドルで保有していると言われています(2024年8月時点の情報)。
セムラーサイエンティフィック:ヘルスケア企業の新たな取り組み
セムラーサイエンティフィック(Semler Scientific)は、医療機器やソフトウェアの開発を手掛ける企業で、特に血管の健康を評価するデバイスで知られています。
セムラー社は2024年5月に、「主要準備資産」として位置づけることを発表しました。
マイクロストラテジーに続く、ビットコインを準備資産とする2番目の米国上場企業となりました。
ヘルスケア企業がビットコインに投資するのは珍しいことかもしれませんが、これはビットコインが広範な産業で認知され、採用されている証拠でもあります。
米上場のヘルスケア企業、8月にもビットコイン追加購入 →929枚保有
米ナスダック上場セムラー社、ビットコイン保有1000BTC突破セムラー会長「機関投資家の参入拡大に期待」 →1,012枚保有
メタプラネット:日本企業の挑戦とリスク
メタプラネットは、日本を拠点とする企業です。
不動産、投資業がメインのようですが、企業実態ははっきりとはしていません。
2024年4月より、ビットコインの戦略的保有を開始する方針を発表しました。
詳細は下記の記事に記載しています。
マイニング企業
・マラソンデジタルホールディングス
マラソンは米国にある世界最大のビットコインマイニング企業です。
マラソンは2024年7月25日に1億ドル相当のビットコインを購入し、自社保有のBTC数が20,000 BTCを超えたと報告しました。
マラソンの特徴は、ビットコインの財務方針として完全な「HODLアプローチ=フル保有」を採用し、採掘されたすべてのビットコインを売却せずに保有し続け、定期的に公開市場でBTCの購入を行う戦略を発表したことです。
通常、マイニング企業は採掘した企業を売却することで収益を成り立たせていますが、マラソンは長期保有戦略を提示しています。
クジラや企業などの大規模な事業体が長期保有戦略に切り替えることは、ビットコインの長期的投資価値を示す強気のサインと考えられています。
2024/8/7 COINPOST 米マラソン社、7月に保有ビットコインを180億円分増加
・ライオットライオット・プラットフォームズ
ナスダック上場の米暗号資産(仮想通貨)マイニング企業Riot Platforms(ライオット・プラットフォームズ)もビットコインを1万枚以上保有しています。
2024/09/06 COINPOST 米上場仮想通貨マイニング企業Riot、保有ビットコインが1万BTC突破
このように、マイニング企業もビットコインを保有しています。
番外編:テスラ、リミックスポイント、ネクソン
下記企業は、ビットコインを保有しているものの、正式に財務戦略として購入し続けることの発表はしていません。また本業の株価にはビットコインの価格変動はあまり影響しないため、番外編としています。
・イーロンマスク率いる米テスラおよびSpaceX の暗号資産(仮想通貨)ビットコインの保有数は、およそ2万BTCと推定されています。
参照:COINPOST 2024/3/8 テスラとSpaceXのビットコイン保有数が約2万BTC 購入再開も確認か=Arkham追跡
・リミックスポイント
リミックスポイントは、2024年9月26日に発表したIRで「15億円相当の仮想通貨購入計画」を公表しました。
この計画には、ビットコイン(BTC)12億円、イーサリアム(ETH)1億円、ソラナ(SOL)1億円、アバランチ(AVAX)1億円の購入が含まれています。
リミックスポイントが仮想通貨を購入した背景には、「市場環境の好転」と「円安の進行」があります。
・日本の企業であるネクソンは、2021年4月にビットコイン投資を行いました。
低金利が続く中、長期的にビットコインを保有することで、資産の目減りを防ぐ狙いがありました。具体的には、ネクソンは1ビットコイン当たり平均で約5万8226ドル(644万6183円)で取得し、合計で1717ビットコインを購入しました。
ただし継続してビットコインを購入している発表などはありません。財務諸表をみると、既に損切りの売却をしているようです。
この決断は、当時の経営者が外国人であったことも影響しているかもしれません。ネクソンは1994年に韓国で創業し、2011年には東京証券取引所第一部へ上場しています。
参照:日本経済新聞 2021/4/28 ネクソン、ビットコインを購入 約100億円相当
財務の安定性とリスク評価
まずは、メイン層ホルダーの違いは以下になります。
マイクロストラテジー:ビットコインに精通した人々がホルダーとして名を連ねています。
セムラーサイエンティフィック:元々医療業界からのホルダーが多いです。
メタプラネット:短期的な投機を目的とした「ばくち打ち」の投機かや機関投資家が多いです。
続いて。ここからはそれぞれの企業の財務状況などをみていきます。
マイクロストラテジーの財務状況は比較的安定しています。
ソフトウェアとクラウドサービス、本業で数百億円規模の売り上げがあり、キャッシュフローもプラスで推移しています。
ただし、ビットコインへの巨額投資により、その安定性に疑問を持つ声もあります。
特に、マイクロストラテジーは、発行済みのビットコインの1%以上の枚数を保有しています。
ビットコインの価格変動が企業の財務に与える影響は大きいため、株主は注意を払う必要があります。
ただしビットコインの購入が2020年からと早かったため、平均購入単価が4万ドル以下と比較的安価な点は他の企業と比べると安心材料です。
医療機器の開発と販売で安定した収益を上げているため、財務状況は堅実です。
安定した収益を背景に、ビットコイン保有という新たな戦略を取り入れました。
本業の売上や財務は、3社の中でも最も良い状況です。
ただしビットコインの購入が2024年からであるため平均購入単価が高めになっていることは懸念材料です。
×メタプラネットのリスクと上場廃止の可能性
メタプラネットへの投資には、他の企業と比べて特有のリスクが伴います。
まず、財務状況が不安定であり、最悪の場合、上場廃止のリスクも現実的に考えられます。
本業の不振が続いており、営業キャッシュフローがマイナスの状態が続いています。これにより、常に資金が流出し、経営が困難な状況です。
この企業は、ホテル業からビットコイン関連ビジネスへと業態転換を図りましたが、株価上昇至上主義に徹しているようにも見えます。
全体的にグレーな部分が多く、海外子会社の存在や脱税スキームの可能性もあります…
また、メタプラネットのビットコイン購入は2024年からスタートしており、これにより平均取得単価が高めになっています。これが、
メタプラネットとマイクロストラテジーでは信用度に違いがあります。
マイクロストラテジーのように株式を発行して資金調達するというループがメタプラネットで実現できるかどうかは疑問です。
実際、メタプラネットが何かを発行しても、引き受け先が見つからない可能性が高く、持続性が欠けていると考えられます。
機関投資家の動き
2024年の株式市場は、仮想通貨関連企業にとって大きな変動の年となっています。
例えばノルウェー王国の政府系ファンドである政府年金基金グローバル(GPFG)は、仮想通貨市場に対する間接的な投資を強化しています。
GPFGのポートフォリオには、マイクロストラテジー、取引所コインベース、決済企業ブロック、ビットコインマイニング企業マラソンなど、仮想通貨に関連する主要企業が名を連ねています。これらの企業を通じて、同ファンドはビットコイン(BTC)への間接的な投資を行っています。
注目すべきは、2024年上半期におけるマイクロストラテジー株の保有比率の増加です。GPFGは、この期間中にマイクロストラテジーの保有比率を0.67%から0.89%に引き上げています。
参考記事:COINPOST ノルウェー国民、一人当たり4000円相当のビットコインに間接投資 世界最大規模の政府系ファンドで
暗号資産ビットコインそのまま保有する利点
ここまで、ビットコインを保有する企業について記載してきました。
前述したように、ビットコイン保有企業の株価の値動きは、リスク資産のビットコインよりも激しくなります。
そのためリスクがあるということを再度、お伝えいたします。
最後に、ビットコイン自体を暗号資産取引所で現物保有することの利点についても紹介します。
当サイトでは、ビットコインなどの暗号資産についての記事も多く記載しております。
ビットコインの現物保有には、多くの優位性があります。
まず、物理的に存在する資産としてのビットコインは、インフレーションや金融市場の変動に対する強力な防御手段となります。
こちらの記事では暗号資産取引所の開設によって、ただでビットコイン現物保有を開始できる方法についても記載しています。
また、レンディング運用は、ビットコイン保有者にとって魅力的な収益手段の一つです。
ビットコインを事業者に貸し出すことで、利子を得ることができます。
しかし、レンディング運用にはリスクも伴います。
貸し出し先の信用リスクや、市場の価格変動リスクを考慮する必要があります。
BitLending:暗号資産レンディングプラットフォーム 🌐㈱J-CAM
東京拠点、2020年サービス開示。四半期ごとに運用レポート開示
取扱い:暗号資産 BTC ETH XRP+米ドル連動 USDT USDC DAI + 金地金連動 XNK
詳しくは下記の記事で紹介しています。
またビットコインなどの暗号資産だけでなく、他の暗号資産や従来の株式や貴金属などの金融資産とのバランスを取りながら投資することで、リスクを低減することができます!
ビットコインの保有戦略や暗号資産市場の特性、主要企業の財務状況について理解を深めていただけたでしょうか?
今後も、このような有益な情報をお届けするために努力してまいります。
ぜひ、他の記事もご覧いただき、引き続き当サイトブログをお楽しみください!
みなさんの投資が成功し、より豊かな生活を送れることを願っています。
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