2022年11月、暗号資産業界は激動の瞬間を迎えました。
バイナンスが、業界第3位の取引所であるFTXの事業買収に踏み切ったというニュースが駆け巡り、仮想通貨市場は大きく揺れ動きました。
この突然の決定がもたらす影響は、ただの一時的な価格変動に留まらず、業界全体に広がる波紋を引き起こしました。
本記事では、2022年に起こったこの買収劇の背景と、暗号資産市場に与える影響を解説します。
2022年11月9日 「仮想通貨大手バイナンス、同業FTXの事業買収で合意」
※当記事の参考資料・URL・引用メディア
日本経済新聞 2022年11月9日
仮想通貨大手バイナンス、同業FTXの事業買収で合意
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN08E2B0Y2A101C2000000/Forbs JAPAN 2022年11月8日
暗号通貨業界の2大巨頭、バイナンスとFTX創業者の「対立」
https://forbesjapan.com/articles/detail/51783
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発生事案:バイナンスが同業FTXを買収(合意)
<そのとき、暗号資産取引所業界が動いた>
2022年11月8日、
暗号資産(仮想通貨)交換業最大手のバイナンスは、同暗号資産交換業大手のFTXトレーディングの米国以外の事業を買収することで合意したと発表しました。
<ワンポイント予備知識>
暗号資産取引所取引高ランキング
資料 コインマーケットキャップ
https://coinmarketcap.com/ja/rankings/exchanges/2022年11月9日の情報
1位 Binance
2位 Coinbase Exchange
3位 FTX
4位 Kraken
5位 BinanceUS
6位 KuCoin
7位 Huobi Global
業界取引高3位の取引所FTXが1位のバイナンスに買収されることになりました。
買収の引き金は、顧客の資金引き出し急増に伴ってFTXの資金繰りが悪化したことです。
「業界再編の話?なのになぜビットコインが暴落しているの?」
それはFTX が発行しているトークンFTTが暴落し、暗号資産市場全体に信用不安が生じたことによります。
参照 コインマーケットキャップ FTXトークン 2022年11月1~9日
上記発表を受けて、ビットコインは20%前後、暴落し、年初来安値を更新しました。
キーパーソン:バイナンス ジャオ氏、FTX バンクマン氏
この事件のキーワードは、バイナンスとFTXという世界でサービスを展開する二つの暗号資産交換業者です。
バイナンス:主要な拠点はパリとドバイで、登記上の本社はケイマン諸島。CEOはチャンポン・ジャオ氏。愛称はCZです。
FTX:中米バハマに本社を置く。
CEOはサム・バンクマンフリード氏。愛称はアフロです。
11月8日両名は、Twitterにおいて買収の事実を発表しました。
FTXのサム・バンクマンフリードCEOはツイッターへの投稿で、戦略的な取引で合意に至ったと明らかに。
バイナンスのジャオCEOも「ユーザーを保護するために、当社はFTXドット・コムを完全買収し流動性ひっ迫の緩和を助ける目的で、趣意書に署名した」と投稿。
原因:信用不安に端を発した顧客引出増でFTXに資金繰りの問題が発生
買収の引き金は、顧客の資金引き出し急増に伴ってFTXの資金繰りが悪化したことです。
ではどうして、顧客の資金引き出しが急増したのでしょうか。
時系列に沿って振り返ってみましょう。
① アラメダ・リサーチの財務懸念(バンクマンの泣き所)
そもそもはFTXのCEOバンクマン・フリード氏が保有する投資会社アラメダ・リサーチの財務懸念に端を発します。
アラメダの保有する資産約150億ドルのうち、約4割をFTXが発行するトークン「FTT」が占めることが内部文書で明らかとなったのです。なお、負債の一部もFTTで構成されていたようです。
※アラメダやらかしてますね(笑)FTTはあくまでもアルトコインです。資産の大半を預けるものではありません。
② バイナンス、情報を掴んでFTTを売却(ジャオ氏の野望)
ここで上記の情報を掴んだバイナンスのジャオ氏は動きます。
流動性を考慮し、バイナンスが保有していたFTTを売却する方針をツイッターにて示したのです。
これが11月6日のことです。
ジャオ氏は「市場に影響を与えないように売る」と表明したものの、影響を与えまくってしまいました。
売却額は数百億円に上るとみられ、FTTの価格は急落します。
※70%を超える暴落 コインマーケットキャッ プ FTTトークン より
③ ジャオ氏の発表を聞いたFTXの顧客は、FTXから資産引出に殺到
FTTの価格急落により、投資会社アラメダと関係の深いFTXの財務不安に波及しました。
ここで焦ったのはFTXのバンクマン・フリード氏。
事態を鎮静化させるために、11月7日、「FTXは大丈夫だ」と強調しました。
「まだ慌てるような時間じゃない」
©スラムダンク / 井上雄彦 / 集英社
しかし、FTXに資産を預ける投資家や仮想通貨企業は急ピッチで換金し始めたのです。
「引き出せなくなる前に資金を撤退させないと」ということですね。
※この動きは、預金封鎖の発表があった際に人々が銀行に殺到することと似ています。
④ FTX、資産引出に対応しきれず、出金停止を発表
顧客の資金引き出し急増に伴って、FTXには資金繰りの問題が発生します。そう、一度に大量の出金申請があったため、対応しきれなくなったのです。
そして、11月8日朝、仮想通貨専門メディア「ザ・ブロック」はFTXが出金停止措置を講じたと報じました。
⑤ バイナンス、FTXの買収方針を発表
出金停止措置の発表があったあと数時間後、バイナンスがFTXの事業を買収する方針を示す展開となりました、
形の上では、業界最大手のバイナンスが、窮地に陥ったFTXを救済するというかたちです。
まさにエンジェル。救済買収。
時系列:ジャオ氏の発言→顧客不安→資金繰り困難
これらの時系列を知って、みなさまはどう思われますか?
私はですね。これは策士・CZ(バイナンスのCEOジャオ氏)の天下取りへの戦略だと感じました。
そもそも仕掛けた側はバイナンス。
FTXが関連するアルメダの信用不安を大々的にリークし、FTXを揺さぶりました。
そして信用騒ぎを起こして、FTXの資金繰りをショートさせて、そのまま救済という形をとって、大型買収へ。
なお11月9日、記事の執筆時点では、買収条件は開示されていません。
ですが、バイナンスに相当有利な条件ではないでしょうか。
今後を予想:大型買収で業界再編・規制にも影響
買収が実現すれば、暗号資産交換業で最大級のM&A(合併・買収)となります。
バイナンスは、2位のコインベースを大きく引き離して、圧倒的なトップに君臨するでしょう。
もちろんFTXの財務状況を確認し、バイナンスがやっぱりFTXの買収をやめる、ということもありえます。そうなればFTXは破綻、暗号資産はさらに大暴落、なんてことも?
バイナンスがFTXを買収したとしても、FTXの資金繰り懸念は、暗号資産市場に大きな負の影響を与えて、大きな売り圧力になるとの見方が多いです。
2022年11月、約1年続いた下落相場はまだ終わらないかもしれません。
また、今回の混乱や買収が資本規制やステーブルコイン規制といった形で影響を与える可能性もあります。
※なお、大手仮想通貨交換業で唯一上場している米コインベース・グローバルは、今回の事件で株価を11%以上も下げています。ビットコイン爆買い企業、マイクロストラテジーも20%の暴落。
筆者の所感:バイナンス1強時代の予感 結局、中央集権
ここからは筆者の所感です。
まずはここまでの内容を一文にまとめてみます。
たった一晩でバイナンスがFTXを買収して、FTTが暴落し、釣られてビットコインも大暴落しました。
それを仕掛けたのは、バイナンスのCZ氏です。
CZ氏は、暗号資産の冬と呼ばれるこの厳しい状況下で、M&Aによる業界再編を試みたのではないでしょうか。
FTXの財務不安を知り、バイナンスがFTXを買収しようと考えたのです。
FTXはソフトバンクグループも出資する企業で、22年に入って存在感を高めました。エンゼルスの大谷選手もCMに起用されています。
しかし今回の件でFTXはバイナンスに買収されました。今後の業界はバイナンスを中心として動いていくでしょう。
ビットコイン、暗号資産は、非中央集権型の資産と呼ばれています。
しかし、バイナンスやFTXといった中央集権型の暗号資産取引所(CEX)のイザコザの影響を受けて価格が暴落するということは、皮肉なものです。
”短期”トレードは強靭なメンタルがないと続けられない
ビットコインの暴落は突然やってきます。
重要指標の発表でもなく、なにか予告があったわけでもなく。
もはやテクニカルやチャートではなくCZというバイナンスCEO一人の人物による外部要因で暴落しています。
暗号資産(仮想通貨)市場の難しさはここにあります。
世界情勢や株式市場、重要指標だけでなく、暗号資産特有のニュースに敏感に反応します。
情報を収集しても収集しても、暴落から逃れることができないことも多いのです。
ハッキングや買収や、LUNAのような一アルトコインの崩壊も。
2018年のバブル崩壊もコインチェックのハッキングでした。
どれだけ分析しようとしても、不確定要因で20%を超える暴落が日常的に起きる。
さらに365日24時間相場が動く。
私が値動きの分析を諦めたのは、精神的にもたなくなったからです(笑)
相場の動きを気にし出すと、会社員としての日常生活に悪影響が出るからです。
なお、私は今回の暴落で100万円弱は溶けているかもしれませんが、にっこりわらって、株式を売却し、クリプトを買い増ししまくっています。
どこが底かを当てることは難しいですが、下がれば永遠にビットコイン(BTCがメインで次いでETH)を買い増すだけなのであまり気にしていません。
「ビットコインがもしもう二度と値上がりしなかったら?」と不安になることもあります。
しかし私個人としては、
「アルトコインは無になる可能性があるが、ビットコインにその可能性は低い。
それを言い出したら日本円だって株式だって、あらゆる全ての資産が無になる可能性がある」と考えています。
2018年から暗号資産と関わってきましたが、もはやメンタル勝負です。
「下がったら買い増し。1日で30~70%の暴落もへっちゃら」
暗号資産はこれくらい精神がバグってないと市場に残れないと思います。
ちゃらへっちゃら何が起きても気分はへのへのかっぱ~
©CHA-LA HEAD-CHA-LA / 影山ヒロノブ
短期トレードは、暗号資産に参入してまだ日が浅い方にはおすすめできません。
そのため私は、冒頭で紹介したように、
① GMOコインで、ビットコインやイーサリアムという時価総額の大きい暗号資産と、米ドル連動のステーブルコイン ダイ を購入。
② レンディングサービス BitLendingにて暗号資産を貸し出して、高金利で複利運用
という形での資産運用を主体にしています。
アルトコイン売買はあくまでお小遣い稼ぎで、メインはビットコインとイーサリアムの買い増し、という形です。
もしレンディングに興味がある方は、下記記事もご確認ください!
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1. 資産防衛と経済的自由の獲得を目指す投資
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2. 暗号資産(仮想通貨) の保有について
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- イーサリアム (ETH): NFTの売買など実利用が進んでおり、米国で現物ETFが承認されています。
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ただし、暗号資産は値動きが大きいため、まずは資産の1%以下の少額からの保有をお勧めします。
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・投資歴:2016年から株式、2018年か暗号資産(仮想通貨)投資を開始
・本業の会社員としての経歴:国土交通省→金地金流通協会企業→暗号資産交換業者→建設業(現役)
・暗号資産交換業者勤務歴を活かした着眼点、宅地建物取引主任者試験にも合格。
・投資スタンス:BTC ETH SOLなど時価総額が多い銘柄を長期で複利運用👉最後に
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Ⅱ 暗号資産:ビットコイン,イーサリアム,アルトコイン,歴史,用語解説
Ⅲ 戦略.リスク :投資戦略とリスクを回避する情報(主 暗号資産,次 伝統資産)
Ⅳ 心構え :投資をする上で重要な心構えとマインド
Ⅴ 納税 :暗号資産に関する税制度や納税
Ⅵ 伝統資産:株式,貴金属,法定通貨
Ⅶ コラム :時事・ニュース,投資,BCG,STEPN,こちら織田証券㈱※当サイトは YOUTUBEチャンネル 投資の美学 クリプトルパン(トッシー)の台本となります。
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