「他の人に見えていないものを見つけられるかどうか」という観点は投資の本質とも言えます。
多くの投資家が気づいていない価値を発見し、それを正しく評価する。大衆が後から評価するものを先回りして購入しておく。
次回の記事では、暗号資産(仮想通貨)の新規上場を利用した「先回り投資」について紹介します。
その前にこちらの記事では、日本の暗号資産市場に対する規制と、新規上場(新たに仮想通貨を取り扱うためのプロセス)の仕組みについて解説いたします。
【この記事が特に刺さる方】
・日本の暗号資産市場への規制に不満がある、JVCEAや金融庁といった規制当局の役割を知りたい
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暗号資産の新規上場の仕組みを知る 審査機関はJVCEA
まずは日本で暗号資産に関するビジネスを行なうための仕組みについて確認しましょう。
日本で暗号資産ビジネスを始めるためには、金融庁とJVCEA(日本暗号資産取引業協会)に申請を行い、許可を得る必要があります。
膨大な資料を作成しコストと時間をかけた末に、金融庁から国内暗号資産交換業者としての登録が認められ、JVCEAの第一種会員となることができるのです。一覧表は公式サイトに載っています。
会員となり暗号資産ビジネスを始めるには莫大なコストがかかる
日本で暗号資産現物取引を行なうためには、JVCEAの第一種会員になる必要があります。
そのためには、入会金400万円、年会費720万円の費用がかかり、さらに暗号資産の取り扱い申請の度に、25万円、もしくは50万円の追加費用がかかります。
上記公式サイトの情報を加工して、私が作成した資料は以下です。
「入会金400万円、年会費720万円の費用」
はっきり言って…高すぎませんか!?!?
日本のその他の業界で「ビジネスをするために規制当局の許可が必要でさらに1000万円以上の初期費用がかかる」事例は思い浮かびません。
それほど、暗号資産に対する日本の規制は厳しいのです。
キルアもざわつくほどです。
海外取引所(バイナンスなど)が金融庁の許可を得ずに、日本で暗号資産交換業を始める理由はこの異常に高額な集金システムも一因です。
ここからはJVCEAについてもう少し深堀りします。
JVCEAの仕組みとしては、まず第二種会員に入会後、第一種会員となる必要があります。
第一種会員
暗号資産交換業者、暗号資産関連デリバティブ取引業者 等
- 第二種会員
- 暗号資産交換業者又は暗号資産関連デリバティブ取引業者となるための登録申請中又は登録申請を予定する事業者
そのため、入会金は第一種、第二種で200万円ずつ必要ですので合計400万円必要です。
また第一種会員として、暗号資産の現物取引を提供する場合、720万円の年会費がかかります。
業務を開始できない第二種会員の場合でも、360万円の年会費がかかります。
なお年会費は原則、一括納付です。中小企業やベンチャー企業が参入するには厳しい金額です。
お代官様(JVCEA・金融庁)への申請プロセス
さて、無事に金融庁から暗号資産交換業の登録を得て、多額の上納金を支払って、JVCEA(日本暗号資産取引業協会)の第一種会員になれば、やっと暗号資産の取り扱いに向けて進んでいくことができます。
暗号資産交換業者が、暗号資産(仮想通貨)を取り扱うためには、
また上納金を支払って、長い時間をかけた審査を行なう必要があるのです。
交換業者が「ビットコイン、イーサリアムの売買を提供するぞ!」と考えたとしても、金融庁の許可なく、かつJVCEAの審査を経ていないと、資金決済に関する法律に抵触してしまうのです。
【新規上場の具体的イメージ】
暗号資産交換業者「金融庁様、この暗号資産(仮想通貨)を上場させたいです。取り扱ってよいですか!」
金融庁「審査は当局の管轄ではなく、自主規制団体に任せている」
暗号資産交換業者「あ、そうでした。久しぶりの新規通貨の取り扱いだったので忘れておりました」
金融庁「JVCEA、日本暗号資産取引業協会に連絡するんだな」
JVCEA「JVCEAです。我々は、資金決済法に基づく「認定資金決済事業者協会」と金融商品取引法に基づく「認定金融商品取引業協会」を兼ねております」
暗号資産交換業者「新規暗号資産を取り扱いたいのですが…」
JVCEA「それでは審査を行います。これとこれとこれとこと、これを作成してください。」
暗号資産交換業者「わかりました。」
これが日本における新規取り扱い暗号資産の上場のためのステップです。
暗号資産の上場を審査しているのは、業界団体であるJVCEA(日本暗号資産取引業協会)です。
JVCEAの新規上場審査が遅い結果、日本の投資家は機会損失を被る
2022年2月現在、JVCEAには約40の暗号資産交換業者が会員として所属していますので、年会費だけでも毎年2~3億円の収入があることになります。
そんな金満球団JVCEAの仕事ぶりはというと…世界的にみていまいちと言わざるを得ません。
日本で「正式に」売買できる暗号資産の数は、世界と比べると圧倒的に少ないからです。
2022年2月現在、コインマーケットキャップには、約17000の暗号資産がリストに載っております。
海外取引所のバイナンスでは、そのうち3%の約700の暗号資産の売買が可能です。
しかし、日本の暗号資産取引所では、合計で約40前後の暗号資産しか正式な売買ができないのです。
そのため暗号資産取引に慣れてきた方は、金融庁から登録を受けていない海外の取引所(バイナンスやバイビット)をメイン口座として、様々な通貨の売買を行なうのです。
※海外取引所(バイナンス)の使い方
1:送金手数料無料の国内取引所(GMOコイン)を口座開設し、ビットコインを購入
2:海外取引所(バイナンス)で口座開設する
3:バイナンスにてBTC受入アドレスを表示し、送金手数料無料のGMOコインからバイナンスに送金する
4:バイナンスにて、BTCを受け取る。BTC建で、欲しいアルトコインを購入する
さらに、新規暗号資産の申請を取り扱うJVCEAに関して以下のような記事が出てきました。
※2022年2月22日付
先駆者だった日本で普及が進まない理由が明らかに暗号資産の新規上場案件や海外で取引されているトークンの国内審査などを司る業界団体の一般社団法人による審査が進まず、昨年10月末で82件も滞留していたのだ。この事態に金融庁も怒り心頭。いったい何が起きているのか、独自入手した社団法人の議事録で明らかにする。
JVCEAは、業界大手のコインチェック社長の蓮尾聡氏が会長を務め、選任された各事業者の代表や外部識者が理事に就く自主規制団体である。国内法に準拠して交換業を行ったり、新たな暗号資産をリリースするには、JVCEAの審査をパスする必要があるが、その審査が著しく遅れている。
「すでに世界中で取引され、日本の取引所でも取り扱いのあるビットコインやイーサリアムなどの著名コインも、新規業者が取り扱うためには一からJVCEAの審査を受ける必要があった。ひとつのコインの審査に半年から1年もかかる例もある。これでは新規に日本市場に参入する国内外の事業者は、すでに多くのコインを取り扱う事業者にまったく対抗できない」
「審査プロセスが開示されていないことも問題だ。まったくのブラックボックスでJVCEAが審査をしている現状は、一部の事業者に有利な取り計らいがあっても、我々にはわからない。」
私も2021年に暗号資産交換業者で働いていた経験があるので、JVCEAの審査が非常に遅いということは自身でも体験していたので納得できる記事でした。
JVCEAの審査が遅すぎて、日本の投資家は自分がほしい暗号資産を国内でなかなか購入できるようにならないのです。
JVCEAの審査スピードが格段に早くならないと、国内の暗号資産マーケットの成長が阻害され、投資家の機会損失につながるおそれがあります。
いえ、おそれどころか、もうすでに機会損失は起こっているのです。
※2022年2月26日時点の暗号資産時価総額ランキング3~14位
暗号資産時価総額ランキング3~14位の中でも
USDT、BNB、LUNA、AVAX、DOGE、SHIBと約半数の暗号資産は日本では売買することができないのです。
これらの暗号資産がほしい方は海外取引所を使いますので、利用者の国外流出が起こります。
※海外取引所を利用せず、国内のみで暗号資産投資を完結させる場合は、ビットコイン、イーサリアム、DAI(ステーブルコイン)をレンディングサービスに預けて、利息を複利運用することが最善手でしょう。詳細は下記の記事、もしくは動画でご確認ください。
正直者がバカを見る~海外取引所を使うほうが圧倒的に儲かる
はっきり言って、正直者がバカを見る状態になっています。
国内取引所でしか売買をしていない方は、旬の暗号資産を売買することができません。
MONA、NEM、LISKなどとうに旬を過ぎた暗号資産を販売所で売買し、取引所に高いスプレッドを払っている方がいるのです。
一方、無許可の海外取引所を使う方は低い手数料で旬の暗号資産を売買します。
私も海外取引所でSOL、SHIB、MATIC、AXSなどを売買し大きな利益を得ました。
金融庁の認可を受けている国内取引所のうち私が主力としているのは以下です。
【GMOコイン】
-東証一部上場GMOインターネットグループ運営-
◎板取引で売買できる銘柄数が多い
◎暗号資産・日本円ともに、出金手数料が無料!
◯東証一部上場の子会社のため財務が健全
【BITPOINT】
-上場企業リミックスポイント運営 新庄剛志氏がCM出演の取引所-
◯貸して増やすサービスが豊富。
しかし主力の取引所として毎日ログインしてメインの売買を行っているのは、
金融庁から認可を得ていない海外取引所のバイナンスなのです。
【BINANCE(バイナンス)】
-世界最大の海外仮想通貨取引所-
◎取扱銘柄数が日本の取引所より多く、BUSDを経由することで取引手数料は最安に
◎ステーキングやローンチプール等金利をもらえるサービスが豊富
△金融庁未認可のため規制リスクあり
どう考えても海外取引所の方が利益を出しやすいのですが、日本の規制当局が今後、規制を強化するというリスクがあるのです。
例えば、送金規制を導入し、国内取引所と海外取引所の送金に制限をかける、など。
以下の動画で詳細に解説しております。
暗号資産業界の規制の裏の利権と友達になる
ここまで暗号資産業界の新規上場の仕組みや多額の年会費について説明してきました。
これらの制度の真意は不明ですが、新規参入者を阻害するためである可能性があります。JVCEAの理事に就任している方は、既存の暗号資産交換業者の取締役クラスですので暗号資産の規制を厳しくすればするほど新規参入者が減るからです。
ですが、ここに金融庁や既存金融の意図も絡んでいるのでしょう。だから問題は複雑になります。暗号資産は未だに雑所得扱いの税制(2022年2月現在)であり、法整備の進捗はありません。
金融庁の目線でいえば、そもそも暗号資産業界の発展は望んでいない、のかもしれないのです。
もちろんJVCEAや金融庁に怒ってもいたしかたありません。それぞれの職員さんたちはきっと必死に働いてくれているはずです。
では何が問題か?
それは、「組織の膿」ではないでしょうか。
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイの原作小説でも語られていましたが、組織が大きくなればなるほど利権が大きくなり組織や一部の人の保身に走ります。まさに暗号資産業界もその利権に汚されている可能性が高いのです。
そうはいっても私達にできることは、限られています。
自分たちにできる範囲で、利益を上げていきましょう!
次の動画では、JVCEAの規制を踏まえつつ、新規上場を予測して利益を上げる方法を紹介します。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!
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Ⅴ 最後に
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時短投資術:分析との決別!投資に費やす時間を減らすためのルールを確立
投資閃略(クリプト):リスクの高い暗号資産投資で利益を上げるための厳選情報
法定通貨:FIATの歴史や役割を学び、お金と幸せの関係を探る
投資の心絵:投資をする際の心構えやメンタル管理術
なお当サイト以外にも運営しているブログやYOUTUBEなどがあります。
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【運営主の自己紹介】
・人を笑わせたい陽気な道楽家。探偵ナイトスクープにも出演。1993年生まれ
・本業は会社員、兼業で金融メディアを運営。何度倒れても立ち上がるポジティブ男
・国土交通省勤務時代に公文書偽造問題に直面し、BCに興味を持つ
・YOUTUBE”投資の美学 クリプトルパン”も運営し関西弁でしゃべり倒す
・暗号資産交換業者で勤務し専門性が少し高い。ほったらかし投資を実践当サイトは利益を狙う情報に加えて、投資の面白さや楽しさを追求しております。
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