これは、世界でいちばん“高くついた”ピザの物語。
ある日、男はただ、ピザが食べたかった。
その代金に差し出したのは…なんと10,000枚のビットコイン。当時の価値は、たったの40ドル。
それが2025年時点で、ざっくり1,400億円の価値になっているなんて──
ピザ2枚が、大企業を丸ごと買えるレベルに化けるなんて──
誰がそんな未来を想像したでしょうか。
けれど、その日こそが歴史の分岐点だったんです。
この出来事は「ビットコイン・ピザデー」として、世界中のクリプト好きの方に祝われています。
その伝説の舞台裏をのぞいていきましょう。
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参考記事:コインチェック CoinCheck ビットコインピザとは?初めて交換された時の値段や歴史について
金融危機とビットコインの誕生
2008年、リーマン・ショックで世界は大混乱に陥ります。
株価は下落、金融機関は倒産…人々は金融機関に不信感を抱き始めていました。
そんな2008年の10月、インターネット上にひっそりと現れたのが──
サトシ・ナカモトという謎の人物です。
彼は「ビットコイン」という、誰にも管理されない新しい通貨の仕組みを公開しました。
「中央銀行や政府を介さず、個人間で直接お金をやりとりする」
それはまるで、金融界に対する小さな革命の狼煙のようでした。
そして翌年の2009年1月。
ビットコインの最初のブロックが採掘され、デジタル資産の一種としてビットコインは世に放たれました。
「ジェネシスブロック」と呼ばれる、ビットコインの最初の記録が生まれたのです。
そこには、こんなメッセージが刻まれていました。
「銀行救済策を迫られる財務相」──イギリスの新聞『タイムズ』の見出しです。
「既存金融システムにNOを突きつける」意思表示にも思える引用。
これが、ビットコインは金融崩壊へのアンチテーゼとして生まれたとされるゆえんです。

ビットコイン黎明期・サイファーパンクの熱狂
当時ビットコインに関わっていたのは、ほんの一部のマニアックな人々でした。
暗号マニア、自由を愛するサイファーパンク、先進的すぎるプログラマーたち…。
彼らはインターネットのフォーラムやメールリストで技術を語り合い、ときには喧嘩し、バグを直し、地道に実験を重ねていました。
そんな中、2009年1月。
サトシ・ナカモトがプログラマーのハル・フィニーに10BTCを送金します。
これが人類初のビットコイン送金です。
このときのビットコインの価値は、ほぼ“ゼロ”。
つまり、ネット上で「お、これ新しいオモチャじゃん」くらいのノリで送っていたんですね。

ピザ2枚とビットコインの交換
伝説の幕が上がるのが2010年5月です。
アメリカ・フロリダ州のプログラマー、ラズロ・ハニエツがBitcoinTalkという掲示板に投稿します。
「ビットコイン1万枚で、ピザ2枚を誰か届けてくれ」
「I’ll pay 10,000 BTC for two pizzas」
今でこそビットコイン1万枚は大金ですが、当時は誰もその価値を信じていませんでした。
「ただのデジタルデータだろ?」
「パソコンの中の数字でピザが買えるわけないじゃん」
そんな声が飛び交っていました。
しかし…その申し出に応じた人が現れました。
イギリス在住の若者・ジェレミーが、オンラインで注文できるアメリカのピザ店を探し始めたのです。
そしてジェレミーは、ピザを注文しました。
ラズロがインターネットで呼びかけた日から4日後の22日。
ラズローはピザ2枚を無事に受け取り、ジェレミーへ10,000ビットコインを支払ったのです。

これが──史上初めてビットコインで商品を購入した瞬間です。
たった2枚のピザ。
でも、それは「この通貨はリアルの世界で使えるんだ」という証明でもありました。
まるで、ライト兄弟の初フライトみたいな話ですよね。
たった数メートルでも、空を飛んだことに意味がある。
ピザデーを祝う文化の定着
その“奇跡のピザ”の日付、5月22日は、今やビットコイン・ピザデーと呼ばれています。
SNSでは「#BitcoinPizzaDay」のタグが飛び交い、ピザ屋さんは記念キャンペーンを開催し、クリプト界隈はパーティー状態になります。
誰もがラズロに思いを馳せながら、ピザをほおばります。

“価値がなかったものが、世界を変えた”──
その歴史的瞬間を、みんなで笑って振り返る“ちょっと変わった感謝祭”なんです。
彼は、ビットコインを“ただの理論”から“現実の通貨”へと変えた、最初の証人でした。
たった1人の男が、ピザを食べたくなった日。
それが、すべての始まりです。
世界で最も高価なピザ。
1万BTCをピザに使ったラズロ・ハニエツは、果たして愚かだったのでしょうか?
それとも──先駆者だったのでしょうか?
もしかすると、あなたが次に“何かを買う”その瞬間も、未来の歴史書に刻まれるのかもしれません。
ピザは、世界を変えました。
次は、あなたの番です。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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