令和8年度税制改正大綱が2025年12月19日に公表されました。
その中で、暗号資産の税制について重要な方向性が示されています。
一見すると、「暗号資産が分離課税20%になる」という明るい話題に見えます。
しかし、条文をよく読むと、
すべての暗号資産取引が対象になるわけではない可能性が見えてきます。
>金融庁に登録されている暗号資産に限る
本記事では、公表された大綱の内容と、そこから読み取れる注意点を整理します。
あくまで投資は自己責任であり、2025年12月時点での情報整理としてご覧ください。
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令和8年度税制改正大綱のポイント
今回の税制改正大綱では、
金融商品取引法等の改正を前提として、次の措置を講ずるとされています。
ポイントは、「特定暗号資産」という考え方です。
居住者等が、暗号資産取引業(仮称)を行う者に対して、暗号資産の譲渡等をした場合、
その譲渡による所得について、
他の所得と分離して、
20%(所得税15%、個人住民税5%)の税率で課税する。
ここで重要なのは、「金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等に限る」
という点です。
つまり、すべての暗号資産取引が自動的に分離課税になるわけではない、
という読み方もできます。
分離課税の対象外になる可能性がある取引
条文の文言を素直に読むと、
以下の取引は分離課税の対象外となる可能性があります。
・海外取引所での取引
・DEXでの取引
・ウォレット間での直接取引
・暗号資産による決済や買い物利用
これらは、
「暗号資産取引業(仮称)を行う者」を介していない、または登録対象外となる可能性があるためです。
その場合、
従来どおり総合課税となり、
税率は最大55%のままになる可能性があります。
あくまで、
暗号資産取引業の定義は今後明らかになる前提です。
現時点では、
「対象外になるリスクがある」
という整理にとどめる必要があります。
税務報告義務の強化も示唆されている
大綱では、
暗号資産取引業を行う者に対して、
報告義務を課す方向性も示されています。
その年中に取引を行った居住者等の、
氏名、住所、個人番号、
取引した暗号資産の名称などを記載した報告書を、
翌年1月31日までに税務署長へ提出する。
つまり、
国内業者を通じた取引は、
把握と管理が前提になる可能性が高い、
ということです。
損失の繰越控除は限定的
一方で、損失については一定の救済措置も示されています。
特定暗号資産の譲渡で生じた損失について、
当年分で控除しきれない金額がある場合、一定の要件の下で、
翌年以後3年以内の各年分の特定暗号資産の譲渡所得等から、
繰越控除が可能とされています。
ただし、これも「特定暗号資産」に限定されます。
すべての暗号資産取引が対象ではない点には注意が必要です。
押さえるポイントと、トップラインの考え方
ここで、考え方の違いを整理します。
多くの人が見ているポイント
・分離課税20%になるらしい
・税率が下がるなら暗号資産は有利
・海外やDEXの方が自由
こうした視点は自然です。
優秀な人が押さえるポイント
・分離課税の「条件」は何か
・どの取引が対象外になる可能性があるか
・税制と規制はセットで動く
税率だけでなく、「どこで」「誰を通じて」取引するかが重要になります。
トップラインで考える人の視点
・日本に住み続ける前提で最適解は何か
・規制リスクと税務リスクをどう下げるか
・使えなくなる選択肢を事前に織り込む
単純な税率比較ではなく、環境全体を見て判断します。
海外取引所・DEXに対する現実的な見方
WEB3や分散型の理想は魅力的です。
しかし、現実には規制と税制の影響を強く受けます。
海外取引所やDEXは、税制優遇の対象外になる可能性があり、
さらにアプリ削除などのリスクもあります。
実際私も、bitgetを使っていたものの、つい先日、出金できなくなりました。
https://x.com/CryptoRupin/status/2001505443282338147
実際に、海外取引所のアプリが削除され、資金の引き出しが困難になるケースもあります。
こうした体験を経て、国内取引所のみを使うという判断も、
一つの合理的な選択肢です。
お上が好きかどうかではなく、日本に住み続ける前提なら、受け入れるしかない現実もあります。
まとめ
令和8年度税制改正大綱により、暗号資産は分離課税20%へ近づいたように見えます。
しかし、その恩恵を受けられるのは、
条件を満たした「特定暗号資産」に限られる可能性があります。
海外取引所、DEX、直接取引は、
引き続き総合課税となるリスクがあります。
今後、暗号資産取引業の定義が明確になるまで、
過度な期待や断定は避けるべきです。
税制は後から追ってきます。
だからこそ、最初からリスクを織り込んだ判断が重要です。
投資は自己責任です。
自分の立場と前提条件に合った選択を、
冷静に考える必要があります。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。







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